1つの動作をするとき、その中心となる筋肉を主働筋といいます。
そして、その主働筋の動きを補助する筋肉を協働筋といいます。 また、その動きと逆に働く筋肉を拮抗筋といいます。
人の体は、ある主働筋が働く際、対になる拮抗筋が自動的に弛緩することにより、動作がスムーズに行えるようになっています。これを相反神経支配といいます。
例えば、肘を曲げる際、上腕二頭筋が主働筋として収縮します。その時、上腕筋や腕橈骨筋がそれを補助し、拮抗筋である上腕三頭筋は相反神経支配により、自動的に弛緩するというわけ♪
図. 屈曲時の主働筋・拮抗筋・協働筋 |
|
肘を伸ばす際は、前述と逆の現象が起こります。
肘を伸ばすと上腕三頭筋が主働筋として収縮し、上腕二頭筋が拮抗筋になり弛緩します。基本、拮抗筋は自動的に弛緩しますが、完全に脱力することはなく、適度に緊張を残した状態で弛緩します。そうすることにより、動く速度や角度が調節され、関節に負担をかけないようになっています。
ある筋を鍛える際、その協働筋や拮抗筋も鍛えることで、筋力のバランスが良くなり、筋パワーをより効果的に発揮することが可能となります。
逆に、その筋力に偏りがあると、弱いところにストレスがかかり、筋や腱、関節を痛める原因になります。
また、ストレッチを行う際にも、主働筋に対する拮抗筋を収縮させると、主働筋がよりストレッチしやすくなります。
図. 伸展時の主働筋・拮抗筋・協働筋 |
|
スポーツ動作をする際、下記3点に意識を傾けることにより、運動能力が向上し、さらには、怪我の抑制にも役立ちます♪
- 主働筋はどの筋肉か?
- 協働筋はどれか?
- 拮抗筋は何か?
表. トレーニング種目と主働筋・拮抗筋・協働筋
トレーニング種目 |
主働筋 |
拮抗筋 |
協働筋 |
ベンチプレス |
大胸筋 |
小胸筋・三角筋・上腕三頭筋 |
広背筋、上腕二頭筋 |
スクワット |
大腿四頭筋、大殿筋 |
脊柱起立筋、下腿三頭筋 |
- - - |
デッド・
リフト |
脊柱起立筋、大殿筋 |
大腿四頭筋、広背筋、僧帽筋 |
- - - |
バーベル・
カール |
上腕二頭筋 |
上腕筋、腕橈骨筋 |
上腕三頭筋 |
シット・
アップ |
腹直筋 |
内腹斜筋、外腹斜筋 |
脊柱起立筋 |
ベント・オーバー・ロウイング |
広背筋 |
大円筋、小円筋、僧帽筋、上腕二頭筋 |
大胸筋、三角筋 |
レッグエクステンション |
大腿四頭筋 |
- - - |
大腿二頭筋 |
レッグ・
カール |
大腿二頭筋 |
半腱様筋、半膜様筋 |
大腿四頭筋 |
|